ビジネスマンから不動の人気を誇る福岡市。
家賃や通勤時間など“働きやすさ”の話は良く聞きますが、経営視点でみたビジネス拠点としての福岡市のポテンシャルはどうなのでしょうか?
実際に福岡市に拠点進出したさまざまな企業の”リアル”をリレー形式でお届けします。
【第1弾:株式会社 SmartHR 様】
今回訪問したのは、労務管理クラウド4年連続シェアNo1(※)を誇る【株式会社SmartHR】様。
2020年10月に九州拠点を福岡市に開設。当初はシェアオフィスを利用していましたが、事業拡大と人員増加に伴い、2022年1月に、新オフィスを開設しました。
九州拠点創設メンバーで、拠点進出を機に地元福岡に帰ってきた支社長の黒川怜早さん(写真右)と、滋賀県出身でこれまで福岡には縁のなかった平井直希さん(写真左)のお二人にお話を伺いました。
※デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ『HRTechクラウド市場の実態と展望 2021年度』

プロフィール
黒川怜早
福岡県出身。新卒で株式会社ワークスアプリケーションズへ入社を機に上京。大手企業を中心にERPパッケージの提案に従事。2019年9月株式会社SmartHRへ入社。首都圏のお客様への提案活動と並行して九州エリアの新規販路開拓プロジェクトも実施。2020年10月九州支店開設と共に福岡へUターン。福岡大学経済学部(陸上競技部)卒。
平井直希滋賀県出身。新卒で東京の人材紹介会社に入社し、法人営業・キャリアコンサルタントを兼任。2018年4月株式会社SmartHRへ入社。インサイドセールス組織の立ち上げに従事した後、2021年1月から九州拠点立ち上げのため福岡に移住。現在は九州セールスグループのチーフとして法人営業・マネジメントに従事。
さっそくですが、福岡市に拠点進出するきっかけを教えてください。
黒川さん「もともと、地方の開拓をしたいという思いがありました。これまで弊社のビジネスモデルは、お客様からいただいたお問い合わせにお応えするという形をとっていましたが、地方のお客様からの問い合わせが少なかったんです。そこで、このまま待っていても始まらないと思い、こちらからアプローチをかけるため、コロナ禍ではありましたが2020年10月に福岡進出することを決めました。」
SmartHR様は2019年6月に関西支社、最近では東海地方にも拠点を開設されていますね。拠点進出するにあたって、福岡を選ぶ決め手となったのはどこだったのでしょう?
黒川さん「九州の経済規模に着目しました。大きな市場であるにも関わらず、東京から離れていてクラウド化があまり進んでいない場所であるため、まだまだ顧客開拓の余地がある重要なエリアだと思ったんです。」
実際に、福岡市に進出してみて、手応えというものは感じていますか?
黒川さん「福岡市へ進出後は、弊社サービスの導入が200%以上増えました。もちろんコロナ禍という時勢もあり、拠点開設だけがすべての要因ではなかったとは思うのですが、直接お会いしてお話できるという点が導入につながったのではないかと思います。WEBの商談だけですと、どうしても抵抗感があるというお客様が多かったので、サポート担当が九州にいるという安心感を生み出せたのは大きいです。」
平井さん「最終的な導入の決め手になるのは、機能への評価はもちろんのこと担当者がどれだけ親身であったかが大きいように感じます。今後もサポートが期待できそうだという安心感や、人と人との関係値やつながりで選んでいただけることが多いですね。」
黒川さん「コロナ禍でオンラインが当たり前になりましたが、逆に地場にいてすぐに訪問ができるという点を重要視されるようになった気がします。九州のお客様はクラウドシステムの導入が初めての企業が多いため、不安な方が多い。『会う』ということのプライオリティが必然的にあがったように感じます。」
たしかに、最近はコロナ禍もあり、ビジネス面でも多くのことが変化していますよね。オフィスに求める価値もその1つだと思うのですが、今年1月にシェアオフィスから自社のオフィス開設に踏み切ったきっかけはなんだったのでしょうか?
黒川さん「そうですね、コロナ禍でオンライン商談の機会が増えたので、シェアオフィスだと出社しても部屋が足りないという問題点がでてきました。また、いずれお客様をお呼びして勉強会や交流会がしたいという目標もあり、専用オフィスをつくろうという話になったんです。」
場所選びやオフィスづくりのポイントはありましたか?
黒川さん「候補は6-7カ所あったんですが、天神大名に出したいという僕の強いこだわりがありまして(笑)。
我々はベンチャーなので、ベンチャーは天神というイメージがあったんです。」
平井さん「オフィスづくりで意識したのは、“居心地のいい環境づくり”ですね。コロナ禍を経て、オフィスの存在意義が単なる『働く場所』ではなく、『偶発的なコミュニケーションを生み出す場』としても期待されるようになったので、コミュニケーションを重視した設計になっています。木や緑など、自然を感じられるような雰囲気にしていますね。」
黒川さん「もともとオープンな社風なので、なるべく仕切りをつくらずに見える設計にしています。あとは、フリーアドレスでどこでも働けることを意識しました。」


今、九州拠点のメンバーは何人いるのでしょうか?
黒川さん「今は顧客サポート/新規販売を中心に、12名のメンバーがいます。毎月少しずつ採用していて、年齢構成では30代前半が多いですね。」
平井さん「採用に関してはタイミングが大きいのかなと思っていて、“新しく福岡に拠点をだすので一緒に会社をつくりあげよう”という立ち上げ期のメッセージに惹かれて入社してくれることが多かったですね。」
黒川さんと平井さんのおふたりは東京から転勤されてきましたが、東京との違いは感じましたか?
黒川さん「やっぱり、福岡はつながりが強いのがすごいなと感じましたね。例えば、僕たちはフットサルのコミュニティ(FIFA:福岡ITフットサル愛好会)に所属しているんですが、コミュニティの中でコンペだったり、採用がバッティングしたりするんです。狭いからこそコミュニティが密だなと感じていて、困っていると周りの会社が助けてくれたりもします。
また、地場の会社さん同士も結びつきが強いので、サービスの良し悪しがすぐに広まるのは、東京ではなかなか感じられなかったところですね。」
平井さん「お客様からお客様への紹介で導入を決めていただけることもありますね。」
黒川さん「また、僕らが九州に来てからまず取り組みが必要だと感じたのは、クラウド化に関する啓蒙活動からだったんですが、一社だけでやるのは限界があるんです。そこで、他の会社と一緒にイベントを開催して啓蒙を図る活動もしています。」
なるほど、良きライバルでもあるけど、一緒に市場を活性化していく仲間でもあるんですね!
黒川さん「そうですね、ベンチャー企業同士一丸となって市場を開拓しようといった横の結びつきの強さは、他の都市と比べても福岡が突出していると思います。」
平井さんは滋賀の出身だということで、福岡には縁もゆかりもなかったんですよね。転勤する前の福岡の印象はどうでしたか?
平井さん「正直、福岡にはゆかりがないので、イメージがわかず怖さを感じているところがありました。
でも、実際に来てみたらそのイメージはあっという間に払拭されました!知り合いが九州にいるわけではなかったのですが、さきほどのフットサルコミュニティなど、それを補えるくらいの交流があるので、あまり孤独も感じなかったですね。
あとは通勤が楽ですね、今はもう徒歩通勤に近いので。東京のなにが大変かっていうと、結局満員電車なので…」
黒川さん「ひさびさに東京にいくと、疲労感がすごいんですよ。福岡だと天神と博多の行き来で済むんですが、東京は街が多い。昔はよく東京で通勤できていたなと思いますね。」
平井さん「あとは、思っていたより都会だなと思いました。でも、少し離れると自然が豊かで。滋賀出身で田舎に慣れていたので、なつかしさを感じるところもありましたね。」
いろいろな側面があるのが福岡のよさですよね。逆に課題を感じているところはどこですか?
黒川さん「九州拠点は九州・沖縄までが担当エリアなのですが、福岡以外の顧客獲得が課題ですね。」
平井さん「一度、鹿児島にサテライトオフィスを開設しようかという案も出たんです。」
黒川さん「オンラインでも一定数お客様は増えるのですが、各エリアの特性はやっぱりあると思います。地域によって、なにがベストなのかを見つけるのが支社の役割だと思っているので、これからも九州で何が最適なのかを模索していきたいと考えています。」
最後に、今後福岡でどのように事業拡大をしていくか展望をお聞かせください。
黒川さん「今、弊社ではプロダクトの開発と運用に関わる部署のメンバーは全国どこでも働けるんです。なので、福岡や九州で働いている開発メンバーにも、このオフィスを活用してもらう機会を増やしていきたいです。また、新規事業開発のメンバーもいるので、福岡から新しいサービスを発信していければ良いですね。」
ありがとうございます!福岡から新しいビジネスやサービスがどんどん広がっていく未来を感じますね。
株式会社SmartHRとは
2013年1月23日設立。2015年11月にクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を提供開始。雇用契約、年末調整などの人事・労務業務のペーパーレス化や、従業員サーベイや分析レポートなど蓄積された情報を活用する人材マネジメントまで、多様な人事・労務の業務効率化を実現します。「SmartHR」は総務省が提供するe-Gov APIと連携しており、Web上から役所への申請も可能。煩雑で時間のかかる人事・労務管理から経営者、担当者、従業員を解放し、企業の生産性向上を後押ししています。2020年には関西支社に続き九州、東海にも拠点を開設。2021年、シリーズDラウンドで海外投資家などから約156億円を調達し、累計調達額は約238億円となりました。

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